『沖縄・先島への道 街道をゆく』 司馬遼太郎

昨夏の沖縄旅行とその前後で司馬遼太郎の『街道をゆく』の沖縄編を読んでいた。昭和40年代後半に司馬が沖縄を訪ね、ほぼリアルタイムで書いた紀行文。本土復帰してまだ間もないころで作中には戦時中の体験談等も少なくない。その中に、 「軍隊というものは自…

『小さい言語学者の冒険 ~子どもに学ぶことばの秘密』 広瀬友紀

子どもの言語習得がどんなにクリエイティブかっていう本。 私はこのテーマをもっとめちゃくちゃ細分化した卒論(学部卒なのでそんなものです…w)を書いたので、最近ちょっと評判になっていたこの本を手に取ってみた。 子どもはまわりの人間がしゃべるのを聞…

葉月の三 / 沖縄にて / 『村上ラヂオ 3』

●8月某日: 晴れた! 遊ぶ時間の捻出のため、朝食はコンビニのおにぎりですませ(朝ドラの視聴もあきらめてw)ビーチへ! 涼しい…水が冷たい(笑)。ああ、福岡の暑さを沖縄にもってきたい、と思う、もはや地理感覚が狂った2019年である。しかし海は楽しい。…

水無月の六 / ピリカサク松本美夏さんインタビュー

●6月某日: 車で某所まで。11時では既に公式駐車場も私設も軒並み満車だな…うーむ…。放送大学の授業。夜ごはん、豚肉とタケノコたっぷりのチンジャオロースふう。ごぼうのみそ汁。今夜は行きたいパネルトークがあったんだけど夫が残業で遅かったので断念。サ…

『本日は、お日柄もよく』原田マハ

ひょんなことから脱サラして伝説のスピーチライターに弟子入りする28歳女子が主人公。あれよあれよという間に、国会議員に立候補する幼馴染み男子のためのスピーチを書くことになる… 本日は、お日柄もよく (徳間文庫) 作者:原田マハ 発売日: 2016/08/05 メデ…

弥生の五 / ウィメンズマーチ / 「I have a dream」

●3月某日: 午前中、ポスティング。今回、ちょいちょいポスティングをお手伝いしてると、ほんっとうに興味深いというかざわざわするというか。いろんなポストがあり、いろんな家があり、いろんなこと考える。小説が読みたくなる。 夕方、国際女性デーのウィ…

『冒険者たち ~ガンバと15ひきの仲間~』 斎藤惇夫

児童文学。すばらしくおもしろかった! 冒険者たち ガンバと15ひきの仲間 (岩波少年文庫044) 作者: 斎藤惇夫,薮内正幸 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2000/06/16 メディア: 単行本(ソフトカバー) 購入: 10人 クリック: 181回 この商品を含むブログ (6…

『いちねんせい』『どきん』 谷川俊太郎

いちねんせい 作者: 谷川俊太郎,和田誠 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 1987/12/10 メディア: 単行本 購入: 5人 クリック: 121回 この商品を含むブログ (12件) を見る 小学校にはお決まりの「音読」という宿題。いつもはハナから放棄している息子(新 小3…

『飛ぶ教室』 エーリヒ・ケストナー

名作なので今さらおすすめするまでもないかもしれないけど好きすぎるので~! ドイツ版、『君たちはどう生きるか』といってもいいかと。誰かマンガ化したらどうかな。 「ギムナジウム」といわれる、日本でいえば中学生前後の男の子たちが通う寄宿学校。同じ…

霜月の十 / 『村 ~百姓たちの近世』 水本邦彦

・なんだかバタバタ多忙でブログの更新が私にしてはあいてしまいましたが、元気です! ●11月某日: 夫が東京出張へ。「東京ばな奈と崎陽軒のシューマイでいいかな?」というので「もうちょっと目新しいものを買ってきてほしいな☆ あなたは目利きだから期待し…

『明治維新とは何だったのか ~ 世界史から考える』 半藤一利・出口治明

日本史界の大家 半藤一利に、APUの出口さん(=ライフネット生命創業者でもある)が「タテ・ヨコ・算数」そして世界史の視点から挑む、ということで、面白くならないわけがありません! 昨今、大河を始め歴史ドラマや小説でも世界史の視点を入れるものは珍し…

氷室冴子の少女小説は私を励まし続ける

2008年、彼女が51歳という若さで没してから十年が経ち、河出書房新社から出たムック本(なぜ集英社ではないのだ…)には、小説家・氷室冴子とその作品に関するエッセイや評論が多数収められている。 読んでいると自分も何か書きたくなった。年々、氷室冴子の…

『茗荷谷の猫』 木内 昇

6月に、福岡市の男女共同参画イベントで講演を聞く機会があった、直木賞作家・木内昇さんの短編小説集。 emitemit.hatenablog.com 幕末から昭和にかけ、各々の生を燃焼させた名もなき人々の痕跡をすくう名篇9作。 と、裏表紙の紹介にある。読後にあらためて…

『太陽の子』 灰谷健次郎

今年の夏、数年ぶりに沖縄に行って、リゾートホテルに泊まったり水族館に行ったりして楽しみながら、楽しむだけでいいのかなという思いがあった。 ここ沖縄は、本土とは違う気候で、海も植生も食べ物も言葉もユニークだ。この独自の文化をもつ地域が歴史の中…

『世界一 子どもを育てやすい国にしよう』 出口治明・駒崎弘樹

著者2人の対談本。フローレンスで待機児童問題や障害児保育などに携わってきた駒崎さんはともかく、ライフネット生命社長(当時。現在はAPU立命館アジア太平洋大学学長)の出口さんが「世界一子どもを育てやすい国に」とは、ちょっと驚くかもしれないが、出…

『ラオスにいったい何があるというんですか?』 村上春樹

私は村上さんの紀行文がものすごく好きなので、久しぶりの刊行がうれしい。彼の小説は圧倒的に独創的できりきり舞いさせられる唯一無二の世界なのだが、エッセイや紀行文はというと対照的に静かで穏やか。もしかしたら退屈とか凡庸とかいう感想もあるかもし…

『はじめての沖縄』 岸政彦

今年8月に沖縄に行って、リゾートホテルを拠点に泳いで食べてとのんびり遊びながら、なんとなく考えるところがあった。那覇空港のすぐ隣には自衛隊の駐屯地があり、自衛隊機が停まっていた。ホテルから出た道の両側に古い墓地があった(このホテルは5年ほど…

文月の十九 / 好きな本が読める!

●7月某日: 試験が終わって、好きな本が読めるー! めっちゃうれしい。宮本常一についてや網野善彦が書いた本を読んでいる。学問的にどーかっていうアレはあるけど、宮本常一のハードなフィールドワークは読むたびに胸を熱くさせてくれる。それにしても戦後…

『ふがいない僕は空を見た』 窪 美澄

泣きすぎて頭が痛い。話題になってたころに本屋で見てたけど、こんなすごい小説だったとは。 女による女のためのR18文学賞だっけ? 初期に受賞した『花宵道中』が「あーね…」って感じの作品だったのもあって(主観です)ナメてた。こんなすごい作品を輩出し…

文月の八 / 6年生にブックトーク

●7月某日: 午前中、男女共同参画推進サポーター 新事業の説明会で市役所へ。1階の奥に職員さんたちが大勢集まっていて、奥の奥のほうで拍手も起きている。被災地へ派遣される職員さんたちの出発式だったらしい。打ち合わせ。市が肝いりで制作した「ママの…

文月の七 / おはなし会でストーリーテリングを

●7月某日: (facebookより) 『エパミナンダス』2公演、無事つとめました! というと、おおげさですが(笑)。今日は、子どもの小学校で、読み聞かせボランティアサークルが主催する「学年おはなし会」でした。 2時間目…1年生(3クラス) 3時間目…2年1組、2…

『経済成長なき幸福国家論』平田オリザ・藻谷浩介

この本1,000円ってありえないくらい安い! 平田オリザと藻谷浩介の思考を一挙にインプットできるっていうのに! 毎日新聞社も著者2人も太っ腹だな!! …っていう本ですw もう、まとめるのがおこがましいというか、まとめられないくらい金言至言にみちている…

『私たちの星で』 梨木香歩 師岡カリーマ・エルサムニー

「人はなぜ、帰属意識を個人のアイデンティティとし、優越感に浸ってしまうのか?」 ISが猛威をふるい、世界中でムスリム・バッシングが吹き荒れ、また各国で右傾化がすすむグローバル社会で、“ほとんど無力に等しい私ですら何かできることはないかと”思った…

水無月の十六 / 『23分間の奇跡』『茶色の朝』

●6月某日: 「ゆるマジ」生配信~。今回のテーマは、全然深くないワールドカップの話 “少数派は肩身が狭い” からの、男女候補者同数をめざす「パリテ法」について。なかなか面白かった・・・気がする(おめでたい奴w) お昼ごはん食べながら7月のイベントの…

『学校目線』 岡崎勝

小学校教員歴40年以上という筆者による、「今、目の前の子どもたちのための」学校案内とでも言おうか。「まえがき(本書では “はじめに” )がすばらしい本に駄作なし」という法則(by 私w)のとおりであり、何ならまえがきだけでも読む価値のある本だと思う…

『日本人と象徴天皇』 NHKスペシャル取材班

2015年、2回にわたって放送されたNHKスペシャルをもとに編まれた本らしい。記述の8割がた、昭和天皇に関して。残りが今上、つまり平成の世の天皇。 昭和天皇についての研究は、実質亡くなってしばらくしてから始まったわけで、私がシロート目線でこの20年く…

水無月の四 / プロフェッショナル仕事の流儀「かこさとし」・7歳児の疑問いろいろ

●6月某日: かこさとしさんの「プロフェッショナル仕事の流儀」見る。 先月、92歳で亡くなった。番組は3月11日からの1か月間の取材。死期が迫っていることは家族も本人もわかっていたというが、かこさんもご家族も自然体そのもの。かこさんは気力が衰え気味…

『ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス』 滝口 悠生

ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス。というのは、ジミヘンがノエル(ベース)とミッチ・ミッチェルと組んだ3ピースバンドで、彼らのアルバムは、私が大学時代、繰り返し聴いたアルバムベスト10・・・いや、ベスト3に入るかもしれない。だから、書店でこ…

『とめられなかった戦争』 加藤陽子

2011年5月、NHKで4回シリーズで放送された内容に添って書かれたもの。当時、全然チェックしてなかったのは、震災からわずか2か月という時期の放送だったのも大きいと思う。そういう人は多かったはず。 というわけで、本作の感想としては、「その映像作品を、…

『不思議な羅針盤』 梨木香歩 “食べるだけの人たちに申し訳なくさえ思うのだ”

やっぱり梨木さんのエッセイはいい。感じるということ、知っているということ、考えるということ、それらがすべてある。そしてそれらは相互につながっている。 各章で、梨木さんは五感をひらいている。庭の草花や、鳥の声。ミントのにおい。路線バスで乗り合…